ハイリスク決済

ハイリスク業種の加盟店審査とは?通過率を高めるための実践ポイント

クレジットカード決済を導入したいが、自社の業種が「ハイリスク業種」にあたる可能性があり、審査に不安を感じている事業者も少なくありません。特にアダルト、定期課金、サブスクリプション、デジタルコンテンツ、外国為替取引、情報商材など、「チャージバックリスク」や「規制リスク」が高いと判断されがちな分野では、通常の決済代行会社では門前払いされるケースもあります。本記事では、ハイリスク事業者がその審査を通過しやすくするためのポイントを、最新動向・法規制・企業影響・対策・導入視点を通じて整理します。最後には、Virtus Payment の提供価値・導線も自然に紹介します。

以下の流れで解説します。

  • 最新動向・トレンド
  • 規制・法律の改正点
  • 企業に与える影響
  • 課題と対策
  • Virtus Payment の視点(強み・選ばれる理由)
  • まとめ

最新動向・トレンド:ハイリスク決済市場を取り巻く環境変化

ハイリスク加盟店アカウントとは何か

通常の加盟店アカウントと異なり、ハイリスク加盟店アカウント(High-Risk Merchant Account)は、不正利用リスクやチャージバック率が高いと判断された事業者向けに、追加の審査や条件付き契約を前提として提供されるものです。

この種のアカウントでは、手数料率が高く、保証金、売上ロック、かさむセキュリティ要件、不正検出体制の導入義務などが課されることが一般的です。

また、業界では「ハイリスク業種」とされる領域は次のような分野が代表例です:

業種・ジャンルリスク要因となる特徴
アダルト、出会い系規制リスク・社会的リスクが高い
ギャンブル/予測情報法規制・信用リスクの可能性
サブスクリプション・定期課金解約・チャージバック発生リスク
デジタルコンテンツ・情報商材商品の非物理性ゆえのトラブル発生可能性
健康食品・サプリ効能表示などの法令リスク
旅行・チケット予約先行決済/キャンセルリスク
外国為替・FX・バイナリーオプション規制強化・金融監督リスク
電子タバコ・CBD規制対象となる物質リスク

このような業種は、決済処理事業者や銀行にとってリスクが高く、審査を厳しくされる傾向があります。

チャージバック・不正利用リスクの拡大

ハイリスク業種を取り巻くもう一つの潮流は、チャージバック(クレジットカードの支払い取消し要求) が拡大傾向にあることです。日本国内でもクレジット不正利用被害は拡大傾向にあり、EC事業者の対策負荷が増加しています。

チャージバックの種類は複数あり、主に以下の分類があります:

  • 不正チャージバック:カード情報が第三者に盗まれ、不正取引としてカード保有者が支払いを否認するケース
  • 注文未履行・商品未到着:商品が届かなかった、あるいはサービス提供が履行されなかったと主張されるケース
  • 品質不備・内容不一致:届いた商品が破損していた、内容説明と異なると主張されるケース

被害の程度には、売上金の減少、チャージバック手数料、反証業務コスト、信用失墜、さらには加盟店契約解除という二次被害も含まれます。

特に、チャージバックの比率が一定水準以上に上ると、MATCH / VMSS(カードブランド系の高リスク加盟店監視リスト) に掲載されるリスクがあります。掲載されると、他の決済業者でも審査が通りづらくなります。

このような背景から、ハイリスク決済を扱う事業者・決済業者双方にとって、「信用性」「セキュリティ」「不正検知・対応能力」がより強く問われる時代になっています。


規制・法律の改正点:ルール対応の最新動き

日本国内におけるクレジットカードセキュリティガイドラインと不正利用対策

日本経済産業省および関係機関は、クレジットカード番号等不正利用対策の強化を要請しており、特に「高リスク商材取扱加盟店」や「不正顕在化加盟店」に対して、一定の不正利用防止措置の導入を求めています。

具体的には、決済事業者が加盟店に対して、次のような 4方策 のうち一定数以上の導入を義務付ける方向が示されています。

  1. 本人認証(EMV 3-Dセキュアなど)
  2. 券面認証(セキュリティコード入力)
  3. 属性・行動分析(不正検知システムの活用)
  4. 配送先情報チェックや住所/IP整合性検証

とくに、EMV 3-Dセキュア(いわゆる 3Dセキュア2.0)は、導入済み取引についてはチャージバックに対する免責(加盟店責任を軽減)を獲得できる可能性があるため、導入義務化の流れが強まっています。

また、ガイドラインでは、高リスク商材取扱加盟店には 少なくとも1方策、不正顕在化加盟店には 2方策以上 の導入を求める方向性が明示されています。

取引時確認・顧客確認義務(KYC/AML)強化

金融関連・電子決済にかかわる取引では、ハイリスク取引や外国顧客との取引に対して、より厳格な取引時確認(KYC)義務が発生します。具体的には、顧客の身元確認・資産状況の把握・取引目的確認などの追加プロセスが必要です。

たとえば、疑わしい取引においては「再度の取引時確認」を求めるケースがあり、場合によっては別手段(別の本人確認書類、インタビューなど)による確認が求められる可能性があります。

さらに、国際取引や高額取引では、顧客の所在地・国籍・PEP(政治的な露出者)リスクなどを確認・モニタリングする体制整備が不可欠です。

国際カードブランドの規制強化(MATCH / VMSS)

前述した通り、Visa や Mastercard は VMSS / MATCH と呼ばれる高リスク加盟店のモニタリングシステムを運用しており、チャージバック率や不正使用率が一定の基準を超える加盟店は、リストに登録され、他アクワイアラーでは審査を拒否される事態が起こります。

たとえば、Mastercard の基準では、1か月のチャージバック数が売上の 1% を超え、かつチャージバック合計額が $5,000 を超える場合など、リスト掲載理由に該当するケースがあります。

リスト掲載後の復帰は非常に困難であり、通常は記録が 5 年残るとされます。

このような規制強化の潮流により、ハイリスク業種で決済を取り扱う企業は、より慎重な審査対応・コンプライアンス体制・不正対策強化を迫られています。


企業に与える影響:審査拒絶と運用コストの増加

審査拒絶・門前払いリスク

ハイリスク事業者にとって最も直接的な影響は、「通常の決済代行企業の審査で拒否される」「支払い手段を持てない」ことです。既存のPG(ペイメントゲートウェイ)やアクワイアラーでは、ハイリスク事業を歓迎しない傾向があります。

そのため、ハイリスク決済処理を専門とする決済プロバイダー(ハイリスク決済プロセッサー)を選択せざるを得ないケースが増えています。

加えて、信用性の低さや、業界知識が乏しいと判断されれば、通常よりも不利な契約条件(高手数料、保証金、売上ロックなど)を提示されがちです。

コスト上昇とキャッシュフロー制約

ハイリスクアカウントを維持するには、運用コストが高くなる傾向があります。具体的には:

  1. 保証金・デポジット:万一のチャージバックに備えて、一定額を契約時に預け入れさせられること
  2. 売上ロック / 売上預かり:一定期間、売上金がプールされる(例:30〜90日)
  3. 手数料率の上昇:通常よりも高めの決済手数料を課される
  4. 不正検知・モニタリングコスト:専用ツール、人力チェック、異常検知システムの導入・運用
  5. 反証・チャージバック処理コスト:異議申し立てや反証対応で時間とリソースを割く必要がある
  6. リスク準備金計上:損失見込みを見越して、引当金を確保する必要性

これらのコストがキャッシュフローを圧迫し、特にスタートアップ・中小規模事業者には負荷となることがあります。

信用リスク・事業継続リスク

チャージバックが頻発したり、不正利用事故が起きたりすると、信用評価の低下、決済契約の解除、あるいはカードブランドからの警告・ブラックリスト入りといったリスクが発生します。

また、MATCH / VMSS に登録されてしまうと、他社決済業者でも門前払いされ、不正復帰が極めて困難となります。

そのため、ハイリスク業種で決済導入を検討する事業者は、審査と運用を通じて徹底した信頼構築とリスク管理を行う必要があります。


課題と対策:審査通過および運用安定化のための実践手法

以下に、ハイリスク事業者が審査を通過し、運用を安定化させるための具体的な対策を整理します。

1. 信用性・透明性の確保

  • 法人格と登記情報の明確化:設立年月日、代表者情報、法人番号、決算書などを揃えて提出
  • 取引履歴・実績の提示:過去の売上実績、取引履歴、顧客数、取引継続期間などを示せる資料
  • 事業内容説明資料:商品・サービス内容、利用方法、利用規約、返金ポリシー等を整理
  • ウェブサイト・ドメイン透明性:信頼性のある企業ドメイン、SSL化、問い合わせ窓口や法人情報記載

これらは、審査担当者に「事業が真摯で運営能力がある」ことを示す材料になります。

2. 不正利用防止措置の徹底

以下のような施策を導入し、審査段階でアピールできるようにしておくことが重要です。

  • EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0) の導入:本人認証による不正軽減と、チャージバック免責の可能性
  • セキュリティコード入力要求:CVV(CSV)コード入力を必須とする
  • 不正検知システム・属性行動分析:AI/ルールベースで異常取引を検出
  • 配送先整合性チェック:住所・IPアドレスの整合性、郵便番号チェック、与信住所履歴など
  • 目視チェックやオーダー審査体制:高リスク注文には人力チェックを併用
  • ログ・証跡保存:メール履歴、アクセスログ、配送伝票、コミュニケーション履歴などを記録・保全(反証資料として有効)

これらを事前に備えておくことで、審査通過の可能性を引き上げられます。

3. チャージバック対応・反証戦略

チャージバックが発生した際の対応体制・反証戦略も重要です。

  • 迅速な応答と対応プロセス設計:通知を受けたら速やかに調査・対応できる体制
  • 証拠資料の整理:配送伝票、メールやチャット履歴、顧客からの確認レスポンスなどを保管
  • 反証書面作成ノウハウ:状況説明、証拠提示、論点整理を含む反証書面を構成
  • チャージバック保険の活用:保険制度によって、チャージバック損失を一部補填できるケースも存在
  • 不正顕在化加盟店リスク管理:チャージバック多発を避け、ブランド警告を回避

これらを徹底することで、チャージバックによる損失・信用毀損を最小化できます。

4. 分散戦略・端末多重化

1つの決済事業者やアカウントに依存するのではなく、複数の決済プロバイダーを組み合わせたり、国内・海外口座併用したりする戦略も有効です。これにより、一つのアカウントが拒否された場合でも代替手段を残せます。

5. キャッシュフロー対策と売上予測管理

ハイリスクアカウントでは売上ロックや保証金が課されやすいため、キャッシュフロー予備力を確保しておくことが肝要です。また、チャージバックリスクを織り込んだ売上予測を行い、損失対策費用を見込んでおくべきです。

6. 決済プロバイダー選定基準の策定

審査通過性・サポート体制・海外対応力・不正検知力・手数料体系など、比較軸を明確にして決済先を選定することが重要です。安価・標準型よりもハイリスク業種に適した構成・機能性重視で選ぶべきです。


Virtus Payment の視点:選ばれる理由・導入価値

ここまで、ハイリスク業種が審査通過率を高める方法と運用安定化の戦略を見てきました。では、実際に導入先候補として Virtus Payment を選ぶべき理由は何でしょうか。以下に、Virtus Payment が提供できる強みと導線を、他社比較的な観点も交えて整理します。

ハイリスク事業にも対応可能な審査ノウハウ

Virtus Payment は、従来拒否されがちなハイリスク業種を含む企業を対象とした決済事業を専門に扱っており、業界知見と審査ノウハウを備えています。これにより、通常の決済業者では蹴られてしまう案件でも、適切な条件下で導入可能なケースがあります。

高度な不正検知およびチャージバック対策体制

Virtus Payment は、以下のような対策機能を強みに据えています:

  • 不正検知システム(属性・行動分析、AIモデル)
  • リアルタイムモニタリングとアラート機能
  • 反証支援サービス(チャージバック発生時の対応支援)
  • 証拠資料保存・取り回し支援

これにより、チャージバックリスクを抑え、加盟店の負担を軽減できます。

クロスボーダー決済対応力

グローバル市場を視野に入れている業種にとって、海外クレジットカードや多通貨決済への対応力は不可欠です。Virtus Payment は複数国・複数通貨対応のインフラを備えており、国際顧客を取り込む事業者にも適しています。

柔軟な契約条件とサポート体制

高リスク事業者向けの契約条件(保証金、売上ロック、手数料体系など)について、事業規模・リスク構造に応じた柔軟設計が可能です。また、導入支援・運用コンサルティング・不正対応支援など、決済における周辺業務のサポート体制を整備しています。

信頼性とセキュリティ基盤

Virtus Payment は、PCI DSS 準拠、データ非保持化設計、SSL/TLS通信、内部アクセス制御など、セキュリティ基盤を意識したアーキテクチャを採用しており、審査段階で信頼性を示す材料になります。

導入ステップ(例)

  1. 企業情報・事業概要の提出
  2. リスク査定・条件提示
  3. 審査通過後、決済回線構築
  4. 不正防止設定やモニタリング運用開始
  5. 運用モニタリングと改善支援

このようなステップを通じて、Virtus Payment は導入から運用まで一貫した支援を提供します。


まとめ

ハイリスク業種において決済導入に挑戦する際、最もネックになるのは「審査通過性」と「チャージバックリスク」です。近年、不正利用やチャージバック発生率は高まり、カードブランドのリスク監視(MATCH/VMSS)や各国の不正対策規制も強化されています。その中で、審査をクリアするためには、信用性・透明性の確保、不正対策の徹底、チャージバック対応体制の整備が不可欠です。さらに、複数決済サービスの併用やキャッシュフロー管理も重要となります。こうした背景を踏まえ、ハイリスク業種対応に強みを持つ Virtus Payment は、審査ノウハウ・不正防止機能・クロスボーダー対応・柔軟な契約条件を兼ね備えた選択肢として有力です。決済導入を検討する事業者は、リスクを理解し対策を構築したうえで、信頼できる決済パートナーを選ぶことが成功の鍵となるでしょう。