コラム

2025年改正資金決済法とキャッシュレス最新トレンド|企業が押さえるべきポイント

キャッシュレス決済の普及状況と政府目標の達成

近年、キャッシュレス決済比率は右肩上がりで伸び続けています。経済産業省は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に引き上げることを目標としてきましたが、2024年にはすでに**42.8%**に到達し、目標を前倒しで達成しました。
背景には、QRコード決済や電子マネー、交通系ICカードなど、消費者にとって利便性の高いサービスが普及したことが挙げられます。特に新型コロナ禍以降、非接触決済の需要が急増し、飲食店・小売店を中心に導入が進みました。


給与デジタル払いの解禁とその影響

2023年4月には労働基準法が改正され、給与のデジタル払いが正式に解禁されました。従来、給与は現金または銀行口座振込が基本でしたが、資金移動業者を介することで、電子マネーやデジタルウォレットへの直接払いが可能となりました。
この制度改正は、企業の資金管理効率化や外国人労働者への利便性向上につながると期待されています。特にスマートフォンだけで生活が完結する若年層にとって、給与の受け取りから消費までシームレスに行える環境は大きな魅力となっています。


BNPL(Buy Now, Pay Later)の拡大と規制強化

近年、BNPL(後払い決済)サービスの利用が急速に広がっています。クレジットカードよりも導入が容易で、分割手数料が無料の場合も多いため、EC事業者が積極的に採用しています。
しかし同時に、過剰利用や未払いリスクの増加が課題となっており、金融庁をはじめとする規制当局は利用者保護の観点から規制強化
を進めています。今後は、事業者に対して信用情報の確認や返済能力の把握が求められる可能性が高いといえるでしょう。


2025年改正資金決済法のポイント

2025年6月に成立した改正資金決済法は、デジタル決済業界に大きなインパクトを与える内容となっています。特に注目すべきポイントは以下の通りです。

  • 利用者保護の強化
    事業者破綻時に利用者資金が迅速に返還される仕組みが整備され、信託や保証契約による保全が義務付けられました。
  • 暗号資産・ステーブルコイン関連
    ステーブルコインが規制対象に含まれ、裏付資産要件の明確化や、投資対象としての取り扱いが検討されています。
  • 暗号資産仲介業の創設
    売買の媒介のみを行う「仲介業」が新設され、一定の登録制・規制が導入されました。
  • クロスボーダー収納代行への規制
    海外事業者と国内顧客をつなぐ決済サービスに対しても資金移動業の登録が必要となり、国境を越える資金フローが一層厳格に管理されます。

これらは単なる法改正にとどまらず、国際取引や暗号資産を活用する企業に直接的な影響を与えるため、ビジネス戦略に組み込む必要があります。


技術革新と多様化する決済手段

QRコード決済、電子マネー、暗号資産、さらには**中央銀行デジタル通貨(CBDC)**まで、決済手段は日々多様化しています。
特にCBDCは各国で実証実験が進められており、国際決済の効率化や金融システムの安定化に寄与すると期待されています。
企業にとっては、利用者が選びやすい決済手段を提供することで顧客満足度を高め、競争力を維持することが重要です。


企業が押さえるべき実務ポイント

今回のトレンドと法改正を踏まえると、企業が意識すべきは以下の点です。

  • 複数のキャッシュレス決済手段に対応すること
  • BNPLなど新興決済サービスのリスク管理を行うこと
  • 法改正に合わせた資金保全や利用者保護体制を整えること
  • クロスボーダー決済の規制動向を常にウォッチすること

こうした対応が不十分な場合、事業の信頼性や顧客満足度が損なわれるリスクが高まります。


Virtus Paymentの視点

Virtus Paymentは、ハイリスク事業者や海外進出を目指す企業でも導入可能な決済ソリューションを提供しています。
今回の改正法で強調された「利用者保護」や「クロスボーダー規制」への対応は、まさにハイリスク事業者が直面する課題です。
業界の最新トレンドを押さえつつ、自社に適した決済パートナーを選ぶことが、長期的なビジネス成長に直結するといえるでしょう。


まとめ

2025年の改正資金決済法は、暗号資産やクロスボーダー決済を含めた規制強化と利用者保護の拡充が柱となっています。同時に、キャッシュレス決済の普及、給与デジタル払いの拡大、BNPLの成長など、企業を取り巻く決済環境は急速に変化しています。これらの変化に対応するためには、複数の決済手段を柔軟に取り入れるとともに、最新の規制に適合した体制を整備することが不可欠です。特にハイリスク事業や海外展開を検討する企業は、リスク管理と規制対応を両立できる決済パートナーを持つことが競争力強化につながります。