決済関連

どの決済方法が最適なのか?各種決済方法のメリット・デメリット

スマホ決済やコンビニ決済など、ここ数年の間に決済できる仕組みは急速に増えています。支払い方法が増えることは消費者の利便性が高まるので歓迎できます。しかし一方で「結局どの決済が有利なのか」と迷うことにも繋がります。

そこで今回は、現金決済(現金を支払って商品を買う形態)以外の主な決済方法の概要を紹介したうえで、メリットとデメリットを考えてみます。

自分の消費スタイルに合った決済方法を探すときの参考にしてみてください。

クレジットカードのメリットとデメリット

クレジットカードは決済方法としてはレジェンドの部類に入りますが、依然として便利なツールとして多くの人から支持されています。

現金決済以外の決済方法をキャッシュレス決済といいます。

2019年の国内すべての支払額の構成比は、現金決済73.2%、キャッシュレス決済26.8%でした(※1)。そして、キャッシュレス決済の実に89.6%がクレジットカード決済です。クレジットカードはレジェンドでありながら、揺るぎない地位を築いています。

(※1)経済産業省「日本のキャッシュレス決済比率」

メリット

クレジットカードを利用するメリットは、利用できるシーンが多いことです。メジャーブランドのクレジットカードなら、ほとんどの店で使うことができます。

そして、年会費無料のクレジットカードを契約して、利用するときに一括払いを選択すれば、金利も手数料も発生しません。現金を持ち歩かなくてよいクレジットカードの利便性を享受できるのに、利用コスト0円は大きなメリットといえます。

クレジットカード会社は積極的かつ定期的にポイント還元をしています。ポイントは利用金額に応じて付与されるので、実質的に値引き効果が得られます。さらに、ネット通販(Eコマース)では、クレジットカード決済でなければ買い物できないことがあります。

クレジットカードは「社会に出たら持っておかなければならないもの」の1つかもしれません。

デメリット

クレジットカードのデメリットは、現金で支払う重みが失われることです。利便性を理解していてもクレジットカードを使わない人はよく「クレジットカードだといくら使っているのかわからない」と言います。

また、年会費があるクレジットカードを申し込むと、実質的に買い物コストが上昇することになります。分割払いにすると利子まで取られてしまいます。ただ、これらのデメリットは使い方や心掛けで解消できます。

スマホ決済のメリットとデメリット

スマホ決済とは、スマホにダウンロードしたアプリを使って支払いを済ませる決済手段です。店のレジなどでスマホをかざすだけで支払いが終わります。

ただ、スマホ決済の「元」はクレジットカードや電子マネーなどになっています。スマホ決済は、クレジットカードや電子マネーの形がスマホに変わっただけといえます。

クレジットカードのメリットとデメリットは先ほど紹介したとおり。電子マネーのメリットとデメリットは、次の章で解説します。

メリット

スマホ決済のメリットは、スマホを利用できることです。スマホは今や、仕事ツールであり、趣味ツールであり、娯楽ツールになっています。そこに決済ツールとしての機能が加わることで、ますます利便性が高まります。

デメリット

スマホ決済のデメリットは「種類が多すぎる」ことです。どれが自分にとって最適なサービスなのか、迷ってしまうでしょう。

また、クレジットカードと比べると利用できる店舗が限られています。クレジットカードのスマホアプリは使えなくても、クレジットカードそのものは使えるという店も少なくありません。

そのため、せっかくダウンロードしたものの決済に利用しないアプリが増えてきます。スマホ画面にアプリの「渋滞」が起きるとわずらわしいですし、お金に関するアプリなので処置に困ります。

スマホ決済アプリは、本当に使うものだけをダウンロードしたほうがよいでしょう。

電子マネー決済のメリットとデメリット

電子マネーとは、データのやりとりで決済を行う仕組みです。

電子マネーには、前払いタイプ(プリペイド型)や後払いタイプ(ポストペイ型)などがあります。プリペイド型は、お金を支払って電子マネーをチャージしてもらい、その分の電子マネーを使い、使い切ったらまたチャージしてもらう、という手順を繰り返します。

プリペイド型は、使ったお金をあとで支払う方法で、クレジットカードと似ています。

メリット

電子マネーはかなり普及しているので、さまざまな場所で利用でき便利です。

特にスイカなどの交通系の電子マネーは、運賃にもそのほかの買い物にも使うことができるので、公共交通機関を多用する人は「これ1枚で」が可能になります。また、電子マネー会社によってはスマホアプリを提供していて、スマホにダウンロードすれば電子マネーの機能をスマホで利用することができます。

電子マネー業界は競争が激化しているので、電子マネー各社が利用者確保のためポイントの還元率をかなり高めています。電子マネーの利用者は、お得情報を見逃さないようにしたいものです。

デメリット

電子マネーのデメリットは、サービスを提供する会社が多いことです。先ほど紹介した交通系のほかに、スーパー系、コンビニ系、QRコード系の電子マネーがあります。

口座振替(自動引き落とし)のメリットとデメリット

口座振替、いわゆる自動引き落としも、レジェンド的な決済でありながら、キャッシュレス決済といえます。

口座振替は、自分の銀行口座に預金しているお金が「自動で引き落とされ」「自動で支払い先に支払われる」仕組みです。口座振替を実行するには、契約をする必要があります。電気やガス、上下水道などの公共料金やクレジットカード会社への支払いで、口座振替が使えます。

メリット

企業によっては、口座振替で支払うと料金を割り引きます。もしくは、口座振替以外の方法で支払うと、割高になることがあります。

お金を支払ってもらう企業にとって、顧客が口座振替を利用すると、請求する手間やお金を徴収する手間を省くことができるので、コスト安になります。その浮いた費用を、料金を割り引くことで顧客還元をしています。

デメリット

口座振替のデメリットは、支払っている実感が得られないことです。

いつ、いくら引き落とされているかチェックしていない人もいます。そのため例えば、想定していたより銀行の預金残高が少なくて、よくよく調べたら電気を通常より多く使っていた、といったことが起こります。

銀行口座の明細を確認すれば、口座振替がいつ、いくら、どこから行なわれたのかがわかりますので、少なくとも月1回はチェックしたほうがよいでしょう。

ネットバンキングのメリットとデメリット

ネットバンキングとは、銀行が口座開設者に提供しているインターネット・サービスのことで、決済も含まれます。

ネットバンキングはパソコンやスマホで操作可能です。専用サイトを操作するだけで、振込(決済)、振替、残高照会、入出金明細照会、積立、外貨預金、投資信託などのあらゆる金融サービスを利用することができます。

メリット

ネットバンキングのメリットは、それまで銀行の支店窓口やATMでしか利用できなかった金融サービスを自宅で利用できることです。

ネットバンキングを使うと、銀行が支店を減らしている意味が理解できるでしょう。それくらい支店業務のネットバンキング化が進んでいます。

デメリット

ネットバンキングのデメリットは、多額のお金をインターネットで扱うことから、犯罪者の標的になりやすいことです。総務省はネットバンキングの利用について、国民に次のように注意喚起をしています(※2)。

  • ネットバンキングの利用拡大に伴い危険性が増大している
  • ネットバンキングはフィッシング詐欺で最も狙われているサービスの1つ
  • 手口は、電子メールで金融機関を名乗り、利用者のIDとパスワードを聞き出すというもの
  • 電子メールに対してはネットバンキングの情報を決して入力しないように

(※2)インターネットバンキングの仕組み

コンビニ決済のメリットとデメリット

払込票をコンビニに持参して、商品などの代金をお金で支払う仕組みをコンビニ決済といいます。

例えば、インターネット通販で商品を買うとき、売り手が買い手に、払込票を郵送することがあります。買い手は、払込票を使ってコンビニで決済(支払いを)します。

メリット

コンビニ決済のメリットは、利用できる場所(店舗)が多いことです。買い物ついでに支払いができます。また、クレジットカードを持っていない人でも、払込票を使えば現金で支払うことができます。

デメリット

デメリットは、コンビニに行かないと決済できないことです。また、払込票を使った決済は現金を支払うことになるのでキャッシュレスになりません。

暗号資産決済のメリットとデメリット

ビットコインやイーサリアム、ネムなどの仮想通貨のことを、暗号資産といいます。

暗号資産は、デジタルデータをお金のように使う仕組みです。暗号資産には、紙幣も効果もありません。ネット空間とコンピュータのなかのデータだけで「お金」が増えたり「お金」が減ったりします。

メリット

暗号資産を利用するメリットは「未来のお金」を使えることです。

暗号資産は今や世界経済を動かす事業規模になり、先進国の中央銀行も研究を始めています。日本銀行も暗号資産の1つであるデジタル通過の実証実験に取り組むと表明しています(※3)。

暗号資産を利用できるシーンはまだ限定的ですが、今から「未来のお金」に慣れておくことは有益といえるでしょう。

(※3)日銀がデジタル通貨実験「21年度の早い時期に」

デメリット

暗号資産のデメリットは、価値の浮き沈みが激しいことです。

暗号資産を現金で買っても、いつかは現金に換えることになります。つまり、暗号資産を現金で売り買いすることになるわけですが、暗号資産を高く買って安く売ってしまったら、損してしまいます。もちろん、暗号資産を安く買って高く売れば、得します。

そのため暗号資産は投機対象になってしまっています。暗号資産の価値が浮き沈みすると、「お金」として安定的に使うことができません。

自分の肌感覚に合うものから使ってみては?

決済手段の種類が増えることは、とてもよいことです。なぜなら、決済業界のなかで競争が起き、サービスがより充実するからです。

これだけ種類が増えると、自分のライフスタイルに合う決済手段がみつかるはずなので、楽しみながら利用してみてはいかがでしょうか。